洋裁を始めようと思ったとき、まず迷うのが道具選びではないでしょうか。
手芸店にはたくさんの洋裁道具が並んでいますが、最初からすべてを揃える必要はないと思います。
まずは服を一着作るために必要な基本の道具を揃えて、便利なものは必要になったときに少しずつ買い足していけばよいでしょう。
この記事では、洋裁を始めるときに「最初に揃えたい道具」と「後から買い足してもよい道具」に分けて紹介します。
最初に揃えたい洋裁道具
まずは、服を作るために基本的に必要になる道具です。
1.ミシン
洋服を作るなら、まず用意したいのがミシンです。
初心者の場合は、直線縫いとジグザグ縫い、ボタンホールなどの基本的な機能がある家庭用ミシンがあれば、いろいろな服を作ることができます。
最初から高価な職業用ミシンやロックミシンまで揃える必要はありません。
ミシンを選ぶときは、機能の多さだけではなく、
・縫い目の長さを調節できる
・ボタンホールが縫える
・押さえを交換できる
・ある程度の厚みの布も縫える
といった点も確認しておくとよいでしょう。
ミシンを使うときは、縫う生地に合ったミシン針を選ぶことも大切です。ミシン針の選び方については、こちらの記事でまとめています。

2.裁ちばさみ
布を裁断するためのはさみです。
紙を切るはさみとは分けて、布専用の裁ちばさみを用意します。
布用のはさみで紙を切ると切れ味が落ちやすくなるので、型紙を切るはさみは別にしておきます。
裁ちばさみは、きちんと手入れをしながら使えば、長く使える道具です。
できれば実際に手に持って、試し切りをしてから選べるとよいのですが、試し切りのできるお店はそれほど多くないかもしれません。
手に持ったときの重さや大きさ、開閉のしやすさなども、選ぶときのポイントになります。
価格はさまざまで、手頃な価格のものもありますが、長く使える本格的な裁ちばさみになると、1万円前後から2万円以上するものもあります。
手頃な価格のものから始めてもよいですし、これから長く洋裁を続けたい場合には、研ぎながら長く使える、しっかりとした裁ちばさみを選ぶのもよいと思います。
裁ちばさみは使い続けるうちに少しずつ切れ味が落ちてくるので、必要に応じて専門店などで研いでもらいます。
以前は金物店などでもお願いできましたが、最近は洋裁用のはさみを研いでもらえるお店を見つけにくくなってきたように感じます。
購入するときに、研ぎやメンテナンスをお願いできるお店があるかどうかも確認しておくと安心です。
私は、洋裁を始めたころ(約20年前)に購入した庄三郎の24cmの裁ちばさみを、今でも使っています。
何度か研いでもらいながら使っていますが、きちんと手入れをすれば長く使える道具だと感じています。

3.糸切りばさみ
ミシン糸やしつけ糸などを切るための、小さなはさみです。
大きな裁ちばさみでも糸は切れますが、ミシンのそばに糸切りばさみを置いておくと作業がスムーズです。
細かい部分の糸を切ることも多いので、先端までよく切れるものが使いやすいと思います。
4.メジャー
体の寸法を測ったり、布や型紙の長さを確認したりするために使います。
洋裁では曲線部分を測ることも多いため、定規だけではなく、柔らかいメジャーが必要になります。
150cm程度まで測れる一般的な洋裁用メジャーが一つあれば十分です。
5.定規
型紙を作ったり、縫い代をつけたりするときに使います。
最初の一本なら、透明で方眼の入った50cm程度の方眼定規が便利です。
布目線を引いたり、縫い代を一定の幅でつけたりするときにも使えます。
市販の型紙だけを使う場合でも、縫い代や位置を確認するときに定規はよく使います。
6.チャコ・布用マーカー
布に出来上がり線や合印などをつけるために使います。
チャコペン、チャコ鉛筆、チョークタイプ、時間が経つと消えるタイプの布用マーカーなど、いろいろな種類があります。
一つだけでどんな布にも対応するのは難しいので、洋裁を続けていくうちに、生地によって使い分けるようになると思います。
私は、チャコで印をつける場合は、なるべく表から見える部分には使わず、縫い代や布の裏側などに印をつけるようにしています。
布の裏側に印をつける場合も、あらかじめ端切れなどで、きちんと消えるかどうかを確認しておくと安心です。消えない場合には、表側から透けたり見えたりしないことも確認しておくとよいです。
また、私は布用マーカーには、時間が経つと自然に消えるタイプのペンをよく使っています。印を消す手間がなく、必要なところにさっと印をつけられるので便利です。

7.待ち針
布と布を合わせて仮止めするときに使います。
洋裁では頻繁に使うので、ある程度の本数を用意しておきます。
待ち針には太さや長さの違いがあり、薄い生地には細いもの、厚みのある生地には少ししっかりしたものなど、布によって使い分けることもできます。
最初は一般的な洋裁用の待ち針があれば十分です。
8.縫い針
ボタンをつけたり、しつけをしたり、ミシンで縫えない部分をまつったりするときに使います。
ミシンで洋服を作る場合でも、手縫いをする場面は意外とあります。
何種類も揃える必要はありませんが、普通地用の縫い針を用意しておくと便利です。
9.ピンクッション
作業中の待ち針や縫い針を置いておくために使います。
特別なものでなくても構いません。
針を机の上に直接置いておくと紛失しやすいため、ピンクッションなど、針を置く場所を決めておくのがおすすめです。
10.リッパー
縫い間違えたミシン目をほどいたり、ボタンホールを切り開いたりするときに使います。
「失敗したときだけ使う道具」のように思えますが、洋裁をしているとかなり出番があります。
小さくてそれほど高価なものではないので、最初から一つ用意しておくとよいでしょう。
11.アイロン・アイロン台
洋裁では、ミシンと同じくらいアイロンをよく使います。
縫い代を割る、折り目をつける、接着芯を貼るなど、服作りのいろいろな工程で必要です。
洋裁専用のアイロンもありますが、私は普段、普通の家庭用アイロンを使っています。
大切なのは、完成してからまとめてアイロンをかけるのではなく、縫う工程の途中でこまめにアイロンをかけることです。
縫い代を割ったり、形を整えたりしながら縫い進めることで、仕上がりもきれいになります。
家にあるものでも大丈夫な道具
洋裁専用品でなくても代用できるものもあります。
たとえば、型紙を切るための紙用はさみや筆記用具などは、家にあるもので十分です。
型紙に書き込むための鉛筆やシャープペンシル、消しゴムなども、特別な洋裁用品を購入する必要はありません。
最初から何もかも新品で揃えるのではなく、家にあるものを利用しながら始めると費用も抑えられます。
後から買い足してもいい道具
ここからは、なくても洋裁を始められるけれど、あると便利な道具です。
ロックミシン
布端をきれいに始末できるので、洋服をたくさん作るようになると欲しくなる道具の一つです。
ただし、最初から必須というわけではありません。
家庭用ミシンのジグザグ縫いなどで布端を始末することもできます。
まずは家庭用ミシンで何着か作ってみて、もっときれいに布端を始末したい、洋服をたくさん作りたいと思うようになってから、ロックミシンの購入を検討してもよいと思います。
また、2本針4本糸のロックミシンなら、布端の始末だけでなく、ニット生地を縫い合わせることもできるので、ニットソーイングをしたい場合にも便利です。
ロータリーカッターとカッティングマット
布の上でロータリーカッターを転がして裁断するための道具です。
裁ちばさみとは違い、布を持ち上げずに裁断できるので、薄い生地を切ったり、直線を裁断したりするときに便利です。
ロータリーカッターを使った裁断を好む方も多いですが、裁ちばさみがあれば洋服を作ることはできます。
私もロータリーカッターを持っていますが、普段の洋服作りではほとんど使わず、裁ちばさみで裁断することが多いです。
使いやすさには好みもあるので、洋裁を始めるときに無理に揃えず、必要になったときに買い足せばよいと思います。
カーブ定規
袖ぐりや衿ぐり、脇線など、型紙の曲線を引くときに使います。
市販の型紙を使って洋裁を始める場合には、最初から用意しなくてもよいでしょう。
一方、自分で製図をする場合には、あると便利な道具です。カーブ定規にはいろいろな種類がありますが、私は製図をするとき、ほとんどDカーブルーラーを使っています。
袖ぐりや衿ぐり、脇線など、いろいろな曲線に合わせて使うことができるので、一本持っていると便利です。

アイロン定規
裾や縫い代などを一定の幅で折りながらアイロンをかけるときに便利です。
なくても普通の定規で測ることはできますが、洋裁を続けていると作業時間を短縮してくれる便利な道具です。
仮止めクリップ
待ち針の代わりに布を挟んで固定する道具です。
厚手の生地や、針穴を残したくない素材などを扱うときにも便利です。
すべてをクリップにする必要はなく、待ち針と使い分けると作業しやすくなります。
目打ち・ピンセット
目打ちは、角を整えたり、細かい部分の布を押さえたり、ミシンをかけるときに布を送るのを補助したりするときに使います。
また、私は先の細いピンセットもよく使っています。糸を引き出したり、細かい部分の布をつまんだりするときなど、指では扱いにくいところでも便利です。
目打ちもピンセットも、洋裁を始めるために必ず必要というわけではありませんが、細かい作業をするときにあると便利な道具です。

最初から全部揃えなくても大丈夫
洋裁道具は、探してみると本当にたくさんあります。
便利そうな道具を見ると、つい全部必要なように思えてしまいますが、実際には作るものや使う生地によって必要な道具も変わります。
まずは、
ミシン・裁ちばさみ・糸切りばさみ・メジャー・定規・チャコ・待ち針・縫い針・ピンクッション・リッパー・アイロン
といった基本的なものから始めればよいと思います。
そして何着か作っていくうちに、
「布端をもっときれいに始末したい」
「自分で製図をしてみたい」
「細かい作業をもっとしやすくしたい」
など、自分に必要なものが分かってきます。
そのときに、自分の作りたいものや作業の仕方に合わせて、必要な道具を少しずつ買い足していけばよいと思います。
道具を最初から全部揃えることよりも、まずは一着作ってみること。
実際に作りながら、自分に合った道具を少しずつ見つけていくのも、洋裁の楽しみのひとつだと思います。


