「きせ」の入れ方~裏布の縫い代の考え方~

洋服に裏地をつけると、

・すべりが良くなり、脱ぎ着がしやすくなるなる

・透け防止になる

・保温効果がアップする

・服のシルエットを保つ

など、様々な効果が期待できます。

 

裏地を縫うときには、「きせを入れる」という作業をします。

今回は、このきせの入れ方について、まとめてみたいと思います。

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「きせ」とは?

「きせ」とは、「ゆとり分」のことです。

 

一般的に、裏布は表布よりも伸びがないので、表布と同じに縫ってしまうと、突っ張ったような仕上がりになってしまいます。

なので、裏布を縫うときには、きせ(ゆとり分)を入れながら縫うのです。

下の図が、表面から見た場合と裏面から見た場合の完成イメージです。

 

ゆとり分が必要なのは体の周囲に対してなので、きせは縦向きの切替え線にいれます。

例えば、横向きの切替え線のウエスト切替えのラインにきせを入れてしまうと、どうなるか…?

ゆとり分は重力によって下がってしまい、丈が長くなります。なので、きせは入れません。

 

きせは、ほとんどの場合は、3mm程度入れます。

ジャケットの背中心は1cm程度入れることが多いです。

 

裏布の縫い代のアイロン処理

表布もそうですが、裏布を縫ったときも、縫い代はアイロンでたおします。

このとき、表布と違うのは、基本的には裏布は縫い代を割ることはないということです。

裏布の縫い代は片返しにすると思っておいて大丈夫です。

 

裏布を片返しにするときは、下の図のように、折るところを手前側にしておき、2枚一緒に折りながらアイロンをかけると良いです。

【縫い方1】出来上がり線をしつけ糸で縫う

裏布の構造がはっきりとつかめていない方は、出来上がり線を意識しながらやると良いです。

  

裏布の裁断のときに、型紙をのせた状態のまま、出来上がり線をルレットでなぞって跡をつけておきます。

  

①裏布を中表に合わせて、出来上がり線をしつけ糸で縫います。

後でほどくので、縫い始めと縫い終わりは玉止めはせず、一針返し縫いをしてとめておきます。

②しつけで縫った線よりも、きせ分(3mm)縫い代側にミシンをかけます。

③しつけで縫った線で、縫い代を片返しにします。

  

出来上がり線を縫ったしつけ糸は、そのままにしておき、服が完成してからていねいに取り除きます。

【縫い方2】出来上がり線を粗ミシンで縫う

※この方法は、縫い代付きの型紙を使うことを想定して説明しています。

 

ここでは、縫い代が1.5cmついているものとします。

①裏布を中表に合わせて、布端から1.5cmのところに粗ミシンをかけます。

②粗ミシンよりも、きせ分(3mm)縫い代側にミシンをかけます。

③粗ミシンで縫った線で、縫い代を片返しにします。

   

粗ミシンは、一旦そのままにしておき、服が完成してからていねいに取り除きます。

【縫い方3】両端をとめミシンのみ

※この方法は、縫い代付きの型紙を使うことを想定して説明しています。

  

ここでは、縫い代が1.5cmついているものとします。

①裏布を中表に合わせて、布端から1.2cmのところにミシンをかけます。

②ミシンの縫い目から3mmのところで縫い代を片返しにします。

③縫い始めの位置と、縫い終わりの位置で、きせ分がずれないようにとめミシンをかけておきます。

 

まとめ

スカートやワンピースなど、いろいろなアイテムで裏布をつけることがありますが、

裏布を縫うにあたって、「きせを入れる」のはとても大切な作業です。

 

慣れないうちは、出来上がり線にルレットで線を入れてしつけ糸で縫う【縫い方1】がおすすめです。

裏布に慣れてきたら、あとは、ご自分が一番やりやすいと思う方法で良いと思います。

クローゼットにある裏布付きの洋服を見てみると、縫い目の完成図がイメージしやすいと思いますよ。

 

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