ジャケットやコートなどで見かける、2つのパーツに分かれている袖がありますね。
これが二枚袖です。
腕の外側の「外袖」と、腕の内側の「内袖」の2つで構成されています。
みなさん、クローゼットにもあると思いますし、アパレルショップにも必ずありますので、イメージできない方は、ちょっと見てみましょう。
「難しい」「分からない」と感じる方が多いと思いますので、
今回は、この二枚袖の作図のかき方順序を解説してみたいと思います。
一般的なジャケットの袖を想定して説明を進めていきます。
※説明中に出てくる寸法は、決まっている数字ではなく、デザインによって変わるものです。
製図用紙の準備
写して書いたり、紙を折ったりする作業があるので、製図用紙は大きすぎないように準備するのがおすすめです。
私は袖を製図するときは、いつもハトロン紙(788×1091)を半分に切って使っています。
袖のでき上りをイメージして、適当な位置に、水平線と垂直線を書くところから始めましょう。
袖山をかく
まず袖山の高さを決めます。
前身頃の袖底から肩先までの高さ(肩丈)、後ろ身頃の袖底から肩先までの高さ(肩丈)をそれぞれはかります。
(前身頃の肩丈+後ろ身頃の肩丈)÷2=☆
として、
☆×0.85を、今回の袖山の高さとします。
先ほど書いた水平線から、「☆×0.85」上がったところに印を入れます(袖山点)。
袖山点から、前AHの寸法で水平線とぶつかるように、斜めの線をかきます。
同様にして、後ろAH+1の寸法で水平線とぶつかるように、反対側に斜めの線をかきます。
「前AH÷4」を計算で出しておき、
袖山点からとったところに、前は1.8cm、後ろは1.9cm、直角に線を入れておきます。
また、前身頃、後ろ身頃の袖底をそれぞれ写しておきます。
袖を作図中のハトロン紙を裏返して、身頃の製図に重ねて、袖底のカーブを写します。
このとき、水平線を身頃のBL(バストライン)に合わせてハトロン紙を置きます。
身頃の袖底をBLより下げている場合は、BLと平行になるように置きます。
これらの印を通るように、袖山のカーブをかきます。(下の図の細い青線は身頃の袖底を写した線です)
袖山が書けたら、この段階で、袖山が前後それぞれ何cmなのかはかり、イセ分の確認をしましょう。
前後のバランス、イセの分量などを見て、調節が必要な場合はこの段階でしておきます。
斜めの線の長さや、カーブのかき方などを微妙に調節して、ちょうどよいところを探すと良いです。
また、このときの端から端までの長さを「袖幅」といいます。
後で使うので、はかっておきましょう。
↓袖山のかき方やイセ分についてはコチラでも書いています。
袖の輪郭をかく
袖山が書けたら、次は、袖の輪郭を書いていきます。
身頃についた筒状の袖を、横から見た時のシルエットをイメージしてみてください。
袖丈を取り、エルボーライン(肘の位置)を書きます。
「袖丈」のところは、自分の袖丈の寸法を入れて計算してください。
エルボーラインは、身頃のバストライン(BL)からウエストライン(WL)までの長さを取ります。
身頃の袖底の位置をBLより下げている場合は、袖底からWLまでで良いと思います。
前側の幅を等分して、垂直に線をひきます。
後ろ側も同様に、等分して垂直に線をひきます。
下の図の、色がついたところを反転して写し取ります。
↓こんなふうになります。
写し方は、
まず、等分したところの縦線でハトロン紙を折って、
それを裏側にひっくり返して、透けて見える線をなぞって書きます。
カーブルーラーを使ってていねいに写しましょう。
反対側も同じようにして写します。
前側の線を書きます。
エルボーラインで垂直線より0.5内側に入り、袖口で垂直線より0.5外に出て、線で結びます。
次に、袖口に印をつけておきます。
先ほどメモしておいた「袖幅」を使って計算します。
(袖幅÷2)×0.75
を袖口の幅とします。
0.5出た位置から、袖口幅を取り、半分の位置にも印をつけておきます。
袖口幅の印のところまで、下の図ように直線をひきます。
後ろ側の線を、下の図のようにかきます。袖口側はちょっと通り過ぎておきます。
その線から直角に出発して、なおかつ袖口幅の半分の位置の印を通過する線を引き、
その後、少しカーブして、前側の線に直角になるように到着します。
これで、袖の輪郭が書けました。
どうでしょうか?
自然に肘が曲がった感じの、腕の方向性を表した形がつかめていますか?
外袖・内袖をかく
前側の輪郭線より3cmずつ両側に線を引き、内袖、外袖の線をかきます。
後ろ側は、下の図のようにしましょう。
図の中で、外袖は、赤線の部分になります。
(袖山のイセは省略しています)
そして、内袖は、下の図の青線の部分になります。
まとめ
以上が、基本的な二枚袖のかき方になります。
今回の袖は、袖山点と袖底の位置が縦にまっすぐに位置していますが、
これをわざとずらすと、ひねりが入った袖になります。
今後、いろいろな製図を見ていくと、そのような袖を見かけることもあると思いますが、
書き方の順序は同じなので、基本のかき方を覚えてしまうと良いと思います。
二枚袖の製図が書けると、作れる洋服の幅がグッと広がりますよ。
ぜひ、参考にして練習してみてください!