洋裁で生地を裁断する前に行うことがある「水通し」と「地直し」。
洋裁本や型紙の説明に「裁断前に水通しをしておきます」と書かれていて、どうすればよいのか迷ったことがある方もいるのではないでしょうか。
水通しは、生地をあらかじめ水につけて、洗濯による縮みなどを防ぐために行う作業です。
地直しは、生地のたて糸とよこ糸を整え、布目のゆがみを直す作業です。
ただし、すべての生地を同じように水につければよいわけではありません。
素材や生地の性質、完成した服をどのように洗濯するかによっても、適した方法は変わります。
この記事では、私が洋裁をするときに行っている方法を中心に、水通しと地直しについてまとめます。
水通しとは
水通しは、生地を裁断する前に水につけ、あらかじめ縮ませておく作業です。
綿や麻などの生地は、水につけて乾燥させることで縮むことがあります。
服に仕立ててから大きく縮んでしまうのを防ぐため、家庭で洗濯する予定の服では、裁断前に水通しをしておくことがあります。
ただし、同じ素材でも、生地の織り方や加工などによって縮み方は異なります。
綿・麻の水通し
綿や麻で、完成後に家庭で水洗いする服を作る場合は、裁断前に水通しをしておくと安心です。
私の場合は、次のようにしています。
- 生地を大きめにたたみ、桶や浴槽などに入れます。生地の内側まで水が行き渡るように、たたんだ部分をめくりながら水を含ませます。
- そのまま1~2時間ほど水につけておきます。
- 強く絞らず、洗濯機で短時間だけ脱水します。
- 生地を広げて、直射日光を避けて干します。
- 完全に乾く少し前に取り込み、布目を整えながらアイロンをかけます。
水通しが必要か迷ったときは
生地がどのくらい縮むのかわからない場合は、端切れを使って確認する方法があります。
たとえば、生地を10cm四方に切り、水につけて乾かします。
その後、アイロンで整えてからもう一度寸法を測ると、どのくらい縮んだのかを確認できます。
ほとんど変化がなければ、水通しを省略できる場合もあります。
ニット生地の場合
ニット生地は、ものによって縮みや伸びが大きく異なります。
私は基本的には水通しをせず、多少の縮みは型紙のゆとりで調整することが多いです。
縮みが気になる生地の場合は、端切れを水につけて乾かし、どのくらい縮むかを確認しておくとよいでしょう。
水通しをする場合は、濡れた状態で吊るすと生地の重みで伸びてしまうことがあるため、平干しにして乾かします。
ウールの場合
ウールは、綿や麻のように水につけて水通しをするのではなく、蒸気を使って整えます。
私の場合は、スチームアイロンを生地から少し浮かせて、生地全体に蒸気を当てています。アイロンで強く押さえるのではなく、蒸気を十分に含ませるようにします。
特に毛足のある生地や表面に凹凸のある生地は、アイロンで押さえると風合いが変わることがあるので注意が必要です。
クリーニング店によっては、裁断前の生地の地直しをお願いできるところもあるようです。
ウールを家庭で地直しする場合は、スチームアイロンを使う方法が取り入れやすいと思います。
ポリエステル・ナイロンなどの合成繊維
ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は、綿や麻に比べて水による縮みが少ないため、私は基本的に水通しをしていません。
布目のゆがみが気になる場合は、生地に適した温度でアイロンをかけて整えてから裁断します。
熱に弱い生地もあるため、アイロンをかける場合は、端切れで温度や蒸気の影響を確認してから行います。
シルク・レーヨンなど、水に注意したい生地
シルクやレーヨンは、水によって縮んだり、風合いが変わったりするものがあるため、私は基本的に水通しをしていません。
アイロンで地直しをする場合は、端切れで温度や蒸気の影響を確認してから、生地に合った方法で整えます。
地直しのやり方
地直しをするときは、まず生地の布目を確認します。
織物には、たて糸とよこ糸があります。
たて糸とよこ糸が大きくゆがんでいる場合は、生地の状態を見ながら布目を整え、アイロンで形を整えます。
無理に強く引っ張ると、かえって生地を伸ばしてしまうことがあるため、少しずつ整えていきます。
私は、地直しのアイロンは基本的に中温でかけています。
シルクや合成繊維など、熱に弱い生地や繊細な生地は低温にします。
ただし、同じ素材でも生地によって熱への反応は異なるため、まずは端切れで試してから全体にかけると安心です。
テカリやアタリ、風合いの変化が心配な生地には、当て布を使います。
洋裁初心者の生地選びについては、こちらの記事でも紹介しています。

まとめ
水通しや地直しの方法は、すべての生地で同じではありません。
綿や麻のように裁断前に水通しをしておきたい生地もあれば、水につけずに扱ったほうがよい生地もあります。
素材名だけで判断するのではなく、生地の性質や完成後の洗濯方法なども考えて、その生地に合った方法を選ぶことが大切です。
少し判断に迷う生地は、まず端切れで試してみると、縮みや風合いの変化を確認しながら安心して裁断に進めます。


