洋服の製図をするときに、元型として使う「原型」というものがあります。
「この原型を使わなければできない」というような原型はありませんが、
洋裁を趣味として楽しんでいる方に、私は「文化式原型」をおすすめしています。
文化式で洋裁を学んだことのある方はとても多いし、関連書籍も多く出ているからです。
「新原型」と「旧原型」について
このブログ内でもご紹介していますが、
女性用の文化式原型には、「旧原型」と「新原型」があります。
新原型は、2000年代に入ってから、現代の女性の体型に合わせて作られたもので、
旧原型は、新原型ができる前まで主に使われていたもののようです。
ですが、旧原型はいまだに洋裁関連の書籍では使われています。
そこで、今回は、新原型を使って旧原型を考察してみたいと思います。
新原型のかき方はこちらで紹介しています。
旧原型のかき方はこちらで紹介しています。
「新原型」と「旧原型」を並べて比較
まず、ふたつの原型を並べてみましょう。
旧原型の方がゆとりが少ないので、前中心、後ろ中心を揃えて置いてみます。
青が旧原型、赤が新原型です。
わかりやすくするために、旧原型をウエストラインで揃えて並べます。
「新原型」を「旧原型」に直すには…
旧原型は、ウエストラインにダーツが入ったような形をしているので、
新原型をそれに合わせて原型操作してみましょう。
後ろ身頃はそのままで、
前身頃のAH(アームホール)にあるダーツの2/3を閉じて、ウエストラインで開きます。
そして、もう一度、最初の図に並べてみます。
こうしてみると、ふたつの原型が似た感じになってきましたね。
実際に、重ねてみましょう。
新原型のフロントネックからウエストラインまでの距離の方が長くなっていますね。
このまま使っても良さそうですが、
もうちょっと考えてみましょう。
長くなっている分を合わせたいので、下のように線を引いて、この間をカットしてみましょう。
線を引く場所ですが、AHに残したダーツの両端の点を通るように水平線をひきました。
カットしてつなげると、こうなります。
アームホールをなめらかに結び直します。
旧原型と重ねてみましょう。
なかなか良さそうです。
直した新原型を旧原型の形にそろえましょう。
アームホールの底の点を合わせるように前身頃の位置を下げます。
前身頃と後ろ身頃のウエストラインが交差する点と結んで脇線としましょう。
また、ウエストラインは、下のように結び直しておきましょう。
後ろダーツの肩にあるダーツは消しましょう。
すると、このようになっています。
もう一度、旧原型と重ねてみます。
少しのズレはありますが、ほぼ同じ形になったのではないでしょうか。
まとめ
今回の考察で分かったことをまとめると、
旧原型は、
・新原型の後ろ身頃の肩のダーツが含まれている
・新原型のアームホールダーツをウエストダーツに移動させている
ということが言えると思います。
原型を理解することで、洋服の製図の理解も深まりますよ。
ぜひ参考にしてみてください。